座席に黒いカバー付きのスマートフォンが置き忘れてました。
私は斜め向かいの座席に座って読書していて、
ふと顔を上げたら、忘れ物に気づきました。

恐らくは気付いていただろうに、
お隣に座ってスマートフォンを操作していた女子高生は、
素知らぬ顔。

その座席の前の吊革に掴まって立っていたサラリーマン風のスーツ姿の男性も
素知らぬ顔。

次の停車駅で、乗客が乗ってきて、空席だと思って座ろうとした女性も、
スマートフォンに気付いて場所を離れました。

時間に余裕があったら良かったのですが、
この電車より遅らせたくはない…

私は途中下車して、ホームでのんびりしていた中年男性に、
「忘れ物なのでお時間ございましたら駅員に届けて頂けませんか?」
と尋ねたら、「えー、困るなぁ」と顔を歪ませました。

そこで、ダッシュで駅員に届け、「○番線電車の座席に忘れ物です」とだけ伝え、
ダッシュで戻り、同じ電車に乗り込めました。

何とも心寂しい出来事でした。