脱力」は一筋縄ではいかないテーマです。
自分自身を振り返っても見ても、学生時代やコンクール挑戦期は、
身も心も常に緊張状態でした。
気持ちを緩めると、全てが壊れてしまいそうなくらい、
緊張させる事で自分を保ってきたように思います。

それでも、音大ではそれなりの成績も頂けて、
内容は兎も角としても、かなりの難曲といわれる曲も色々弾き、
僅かながらコンクールでも賞を頂けてはいましたが、
次第に、何か違う・・・という疑問を強く抱くようになりました。

そこから脱皮するきっかけは「脱力」だったように思います。
と言うか、脱力が出来てきたら脱皮していた、という方が本当かも知れません。

脱力したら、身体の重みと呼吸が動力源になり、
頭と指先、集中力で制御していた時からは考えられない自由さが生まれてきます。

ただ一つ、心と体が解放されたら、集中力や緊張感で制御していた時よりも、
一番良いポジションとタイミングと呼吸と・・・・、
沢山のベストが同時に実現されていないと上手くいかないのです。

中途半端に力が入っている方が、簡単です

また、教える時はもっともっと難しい。
奏者は、一度、全てを崩壊させる勇気を持たなければ、
不要な力が入る癖を拭う事が困難です。

当然、暫くは本番の演奏が不安定になる可能性もあります。
脱力奏法習得過程の過渡期は、普段は脱力して弾いていても、
本番で人前にに出るとかつての癖が甦って来たりする場合もあります。

生徒側に、過去の奏法と訣別する勇気がみられない場合は、
少しずつ少しずつ、部分的にでも脱力できるように指導していきますが、
殆どの場合は自宅で練習している間に緊張奏法に戻ってしまいます。

私はレッスンしていて、「こうしたら楽に自由に、上手く弾けるようになる」
というイメージがある程度はハッキリ見えている事が殆どですが、
それをどうやって伝授したらよいか、悩みどころです。

伝授の為のアイディアをたくさんたくさん見つけ出したい、と思い、
またまた衝動買いをしてしまいました。

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