今日、弐千円札が私の手元にやってきました。
物凄く久しぶりです。
変体仮名を使った美しい文字に目が留まりました。
という事は、以前に弐千札を手にした時は、まだ書道を始める前だったのでしょう。
つまり、2年以上前になります。
2000 2000en
以前見た時よりも、和の情緒を感じます。
紫式部の肖像画と、その代表作 源氏物語の「すずむし」の詞書、絵巻が印刷されています。
繊細で嫋やかで、奥ゆかしさがあります。

詞書と、現代語訳をご紹介します。

すヽむし
十五夜のゆふくれに仏のおまへ
に宮おはしてはしちかくなかめ
たまひつヽ念珠したまふわかき
あまきみたち二三人はなたてま
つるとてならすあかつきのおとみつ
のけはひなときこゆさまかはりたる
いとなみにいそきあへるいとあわれな
るにれいのわたりたまひてむしのね

<現代語訳>(谷崎潤一郎「新々訳 源氏物語」第七(中央公論社)より)
十五夜の月がまだ影を隠している夕暮に、佛のお前にお宮がおいでになりまして、端近
くお眺めになりながら念誦(ねんじゅ)していらっしゃいます。若い尼たちが二三人、花を奉
ろうとして閼伽坏(あかつき)の音や水の音などをさせて、世間離れのした仕事を忙しそう
にしていますのも、たいそう哀れなのですが、例のお越しになりまして、「虫の音がしげく
鳴きみだれる夕ぐれですね」と、・・・

2000年に発行された、こんなに素敵なお札が、何故あまり普及しなかったのでしょうか?
東京オリンピックを前に、また円安の影響を受けて、
たくさんの外国人観光客が日本にいらっしゃいます。
是非、このお札をご覧いただきたいと思います。